キズノンシート

鉄より強いスーパー繊維で金型の曲げキズを防止

主な特徴

  • プレスブレーキ加工時に生ずる、ステンレス、アルミ、カラー鋼板等の曲げキズを防ぎます。
  • 表面処理鋼板等による金型の磨耗や溶着を防ぎます。
  • ワークの長さ・厚みを問わず安定した精度が得られ、曲げ精度にバラツキがありません。
  • 幅が100mmあるため、傷んだ部分をずらして使っていけば、くり返し使用できます。

ニット編みのスーパー繊維で高耐久

防弾ベストや宇宙服にも使われている、鉄より強いスーパー繊維
このスーパー繊維を伸縮のあるニット編みにすることで、Vミゾ下部に引き込まれる伸びを吸収してシートの千切れを防ぎ、高耐久を実現しました。

使用方法

シートを、ダイのVミゾにしわのないようかぶせ、前後をテープで固定します。傷んだ部分をずらして使っていくことで、くり返し使用できます。

通常加工時と同じTON数、V幅で使用可能

シートの厚みは1.0mmですが、加圧時は約0.1mmに圧縮されるため、V幅を広げることなく使用できます。

大きなVミゾへの使用例

ミゾ幅が広いダイに使用する場合は、ダイの両側からVの肩部へシートをかけます。シートが傷んだらVの内側へ送り込んで使用することで、経済的にご使用できます。

仕様

適正板厚
SUSアルミ
0.5~1.5mm0.5~3.2mm0.5~6.0mm
型番寸法加圧時厚み
T-05幅100mm×厚み1.0mm×長さ5M約0.1mm
T-10幅100mm×厚み1.0mm×長さ10M約0.1mm

Distributor at Italy, Germany, France, Spain, the Benelux: Contact to Powertech srl

曲げキズ防止シートの特性比較を見る

シートの耐久性を上げる使用条件

  1. 加工材のバリやドロスを取り除いてからご使用頂くと耐久性が向上します。
  2. 板厚に対して適正なV幅をご使用ください。V幅が小さいと耐久性が落ち、V幅・肩Rが大きいほど耐久性は向上します。
  3. 同じミゾ幅のダイでも、2Vダイより1Vダイの方が肩Rが大きく、シートの耐久性は良くなります。
    (例:1VダイV10の肩R→2R、2Vダイの肩R→0.5R)
  4. アルミ52S材のように柔らかい加工材の場合、シート生地の織り目がつくことがあります。Vミゾを広めにして、肩Rの大きいダイを使用することで防ぐことができます。

キズノンシート耐久データ

すべてのテスト結果はワークへの曲げキズはありません。

板材板厚角度V幅肩R曲げ回数シートの状態備考
SUSt1.090°V6R0.4200回まったく破れず継続使用可弊社テスト
SUSt1.090°V8R0.5200回まったく破れず継続使用可弊社テスト
SUSt1.030°V8R130回まったく破れず継続使用可弊社テスト
SUSt1.290°V8R0.5538回228回でV底部に小さな穴があくが
肩部は破れてないためテスト続行。
538回でV底部が部分的に切れたが
ワークは肩キズなしで継続使用可。
2019年弊社再テスト
SUSt1.530°V8R135回まったく破れず継続使用可弊社再テスト
SUSt1.590°V10R0.6200回まったく破れず継続使用可弊社テスト
アルミt1.090°V6R0.450回まったく破れず継続使用可弊社テスト
アルミt1.590°V8R0.630回まったく破れず継続使用可弊社テスト
t1.690°V12R0.830回肩部が薄くなるが継続使用可弊社テスト
カラー鋼板t0.590°V6不明500回約500回で切れた長野K建材
SUSt1.290°V6不明50回まったく破れず継続使用可大阪T製作所
SUSt2.090°V12R0.830回破れず継続使用可長野T社
SUSt2.0不明V12不明1回1回で切れた(詳細不明)和歌山N社
SUSt3.0不明不明不明不明すぐ切れた(詳細不明)愛知M販売店
SUSt3.090°V20R4100回800mmを曲げてV底部に数か所の穴があいた
(継続使用可)
大阪K社
SUSt3.090°不明不明40回2500mmを曲げて中央が薄くなった
(継続使用可)
大阪K社
アルミt1.590°V8R0.63000回まったく破れず継続使用可長野T社
アルミt2.590°V16不明不明まったく破れず継続使用可長野T社
SUSt0.830°、90°特殊不明1000回1000回が限度となった群馬S電機
SUSt9.090°V72R21回1回で切れるがキズはつかない石川F社
t6.090°V40R420回20回で切れる静岡M社
ボンデt1.690°V12R2.5370回肩部が薄くなるが継続使用可群馬A社
耐久データについて
  1. シートをずらさずに一か所で固定して行ったデータです。
  2. シートの傷んだ部分をずらして使うことで、データ曲げ回数の4~5倍使用出来ます。
  3. 弊社テストは全て条件の悪い2Vダイの、肩Rの小さいダイで行った結果です。
  4. 通常曲げ加工時と同じTON数で曲げています。

キズノンはニット編みだから高耐久!

なぜ、伸縮するニット編みシートがいいの?

伸縮性が曲げ作業を安定させる

鉄の数倍の強度を持つスーパー繊維を使用し、2倍以上の伸縮性を持たせた「ニット編みシート」を、 写真のようにVミゾの上にピンと引っ張るようにして前後をテープで固定します。 こうすることで、シート上に置いた板材を前後に移動させても、 シートがずれて動くことはありません。
曲げ作業の際、シートがV底に向かって伸び、曲げた後は元に戻ります。常にピンと張った状態を保ち、接着テープが引っ張られて剥がれることもなく、安定した曲げ作業が可能です。

高耐久を生む最大の要因

伸縮する「ニット編みシート」の最大の効果として、板材を曲げる際にシートがVミゾの両肩で固定されていても、 V底に向かって伸びる量が非常に多いため、Vミゾ両肩部にシートを引きちぎる力がかかりません。これが高耐久を生む最大の要因です。

伸縮性のないシートはなぜ駄目なの?

伸縮性のないシートは、板材を曲げ始めてVミゾ両肩に数トンの大きな力がかかると、シートが肩部で固定されます。
その後、さらに曲げていくと、板材はシートの上を滑りながらV底に向かって曲がっていきますが、シートは肩部で固定されたまま、板材に押されてV底に向かって伸びます。
そして、シート素材の伸びの限界点を超えると、両肩部から引きちぎれてしまいます。

これは、鉄の数倍の強度を持つシート素材であっても、伸び率がわずか5%程度しかないこと、 また繊維と鉄の密度の違いから、板材と一緒に滑ってV底へ向かわないためです。

また、伸縮性のないシートはVミゾの上にピンと張ることができないため、曲げ加工のたびにシートが動いてしまい、安定した作業ができません。
加えて、シートを同じ位置でくり返し使うという経済的な使い方ができないことにより、ランニングコストも高くついてしまうのです。